父は71歳の時に脳梗塞になりました
その日、いつものように母と二人でイオンに買い物に行っていたのですが、並んで歩いていた父が蛇行してはじめたそうです。母が「大丈夫?」と尋ねると、「頭がふらふらする。」と言うのです。その後の会話も呂律が回っていないし、まっすぐ歩けなくなっていたので急いで病院に行ったそうです。
その時は、父も意識もはっきりしていたので自分で車を運転したそうです。今から思えば怖い話です。
病院について検査をしてもらうと軽い脳梗塞だと言われたそうです
そして、そのまま入院になりました。私が連絡を受けたのはその2日後でした。お見舞いに行くと父はベッドで点滴を受けていました。普段と変わらない様子で会話もでき、その日は安心して帰りました。
ところが、翌日に母から連絡がきて、父の脳梗塞が再発したと言うのです
私が病院に行った時には昏睡状態になっていました。父は絶対安静だったのですが、看護婦さんに迷惑をかけるのが嫌で、トイレに一人で行ったりしていたそうです。母が怒っていました。それから父は何度も再発を繰り返して、しかも心臓に持病を持っていたので薬を使うのがとても難しいらしく、主治医はいつお会いしても厳しい表情で、でも、希望が持てる言葉をかけてくれていました。
使う薬の影響で腎臓がダメージをくらい腎不全になりました
おしっこが出ないと命の危険が更に高まります。父の顔はまったくの別人のように浮腫んでパンパンでした。その後、心臓に水が溜まっている、と主治医から言われ、家族は皆、覚悟をしていました。
でも、母だけは絶対に治ると信じていたそうです。その祈りのおかげなのか父の容態は日に日に安定していきました。主治医の笑顔を見た時に、父は助かった、と思えました。でも、それから今度はどこまで体がダメージを受けているのかという心配でした。
主治医の話では、1番ダメージを受けた場所が首に近い所で体に麻痺がでる可能性は低い。でも、こればかりはどこまで回復するかは本人次第との事でした。
意識が回復したばかりの頃は、喋れないし、頭を少し動かせる程度でした。
でも、感覚は手も足もちゃんとあったのですぐにリハビリが始まりました
柔らかいボールを手でニギニギするところから始まり、体を起こして姿勢を変えたり、足を動かしたり、本人も早く元気になりたい一心で、指示通りにやっていました。飲み込む練習も始まり、最初は少しの水分もむせていましたが、ごっくんができるようになると食事も始まりました。療法士さんがついてくれて口や喉の使い方を確認してくれてオッケーがでると、リハビリを兼ねて自分でゆっくり食事が摂れるようになりました。
この頃から急激に回復し、背もたれなしで座れるようになり、父の言葉も聴き取れるようになりました。病気になるまでは家族の言葉なんてまったく聞きませんでしたが、早く退院したいばかりに看護婦さんや療法士さんの指示に従い、転院したリハビリ病院でも、当初の予定より早く退院できるようになりました。
現在、74歳になった父ですが、毎日、一万歩の散歩をしています
体操をしたり、百人一首を詠んで発声の練習をしたり、オリジナルのリハビリを楽しんでいます。悪くなった腎臓も医師の指導のもと食事療法をしたおかげで機能が回復し、本当に奇跡的な回復をしてくれました。これからも元気でいて欲しいです。