脳梗塞の再発防止に本人、家族が出来ること

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脳梗塞のリハビリ

脳梗塞の入院中のリハビリと期間や症状によるリハビリの違い

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脳梗塞を発症後、早期のリハビリによって症状が大きく改善するとされています。

しかし脳神経科で働いていると、この「早期のリハビリ」という言葉によって、多くの患者さんおよびご家族が、病院でのリハビリについて、ある誤解されているように感じます

そこで今回は、脳梗塞で入院中の際に行われるリハビリについて、脳神経科の看護師が解説します。

脳梗塞へのリハビリは、「急性期」「回復期」「維持期」によって異なる

脳梗塞は発症後、大きく「急性期」「回復期」「維持期(生活期)」にわけられます。

では、それぞれの違いおよびリハビリについて、ご紹介しましょう。

 

急性期(発症直後~1~数週間後)

急性期は、脳梗塞を発症後、急性期病院を退院するまでの期間となります。

急性期病院とは、皆さんが病院といわれてすぐに想像されるような、手術や治療を行っている、規模の大きな病院と思っていただいて差し支えありません。

救急車などで病院に搬送され、脳梗塞と診断された後、症状の改善またはこれ以上症状が悪化しないように、治療を行います。

この治療と同時に行われる急性期のリハビリは、治療のために長い時間、ベッド上での安静が続くことで、身体に様々な機能の低下を引き起こすとされている「廃用(はいよう)症候群」の予防、および早期の生活機能の向上が目的とされています。

急性期ではまだ患者さんの容態が安定していないことも多いため、急性期でのリハビリは、いかに早く身体の機能を回復させるかよりも、身体に負担がかからないことが最優先されます。そのため、リハビリが関節のマッサージだけで終わってしまう、ということもよく起こります。

回復期

回復期は、急性期病院から、リハビリ専門病院または病棟へ転院・転棟後、数ヶ月から半年程度の期間となります。

回復期のリハビリにおける目的は、身体の機能をできるだけ回復させること、そして、機能を改善させるために集中的にリハビリテーションを行うことです。

そのため、回復期で行われるリハビリは、まず患者さんご本人の状態から「この方はどれくらい動ける可能性があるか」という評価を通して、患者さん一人ひとりのゴールを設定します。そしてそのゴールを目標に、一人ひとりの状態に応じたリハビリを集中して行います。

治療をメインとした急性期とは異なり、回復期はリハビリがメインとなります。

よって、患者さんおよびご家族がリハビリとしてすぐに想像するようなリハビリは、主にこの回復期で行われます。

回復期では事前に数ヶ月から半年程度と、入院期間が決められていますが、それには理由があります。

脳梗塞をはじめとして、リハビリはそれぞれの病気やけがに応じて、十分効果が期待できる期間というのがある程度わかっています。

そのため、リハビリの効果が十分期待できる期間内で、どれだけ身体の機能を回復および改善できるかという点は、その後の患者さんの人生を決める大切な期間ともいえます。

 

維持期(生活期)

維持期(生活期)は、リハビリ病棟・病院を退院後の期間を指します。

維持期で行われるリハビリは、回復期によって回復した身体の機能の維持と継続、そして改善のために行われるものです。

脳梗塞によって低下した機能は、継続的なリハビリをしないとすぐに衰えてしまいます。

そのため、脳梗塞を発症後はご家庭でのリハビリに加え、リハビリテーション施設へ通って継続的なリハビリを受けることが何より大切です。

このように、病院で受けるリハビリと、リハビリ専門病院で受けるリハビリ、そして自宅へ帰った後のリハビリは、それぞれ目的が異なるため、受けられるリハビリの内容も変化していくのです。

 

リハビリ=立つ、歩く、トイレに行くなどといったものとは限らない

患者さんやご家族がリハビリといわれると、すぐに思い浮かぶのが「手すりにつかまって歩いたり、走ったりする」というもののようです。

しかし実際に急性期で行うリハビリは、目的が「廃用症候群の予防」または「早期の生活機能の向上」なので、麻痺など重度の障害が出ているケースでは、まず行いません。

そのため、患者さんやご家族の中には「脳梗塞は早期のリハビリが大切なのに、この病院はマッサージとかそういったものばかりでちっとも積極的なリハビリをしてくれない。この病院のリハビリは良くない」と看護師に対して強い口調で抗議されることもあります。

ここで、一つのリハビリ例を紹介しましょう。

重い脳梗塞によって重度の右半身麻痺が残ってしまい、身体を少し動かすだけで血圧が乱高下してしまう方がいました。

その方は比較的若くして発症されたため、ご家族は「早くリハビリをして、歩けるようになってほしい」という要望をお持ちでした。

しかし、その患者さんは症状が重かったため、リハビリを導入直後は、ベッドの上で頭を少し上げるだけでもすぐに血圧がリハビリを行える上限を超えてしまうような状態でした。

そのため、リハビリ専門職である理学療法士は、毎日少しずつ頭を上げる角度を上げながら、関節が堅くならないよう、マッサージを行いました。

そのリハビリを開始して1週間後、患者さんはようやくベッドの上で座っても血圧が上昇しないまでに回復しました。

無事にベッド上で座れるようになった状態で回復期のリハビリ病院へ行った患者さんは、回復期でのリハビリを頑張ったおかげで、半年後、一人で車椅子を乗りこなせるまでに回復し、急性期病棟の私たちへ挨拶をしにきてくださいました。

皆さんにとって、ベッドの上で座るということは、ただの動作であり、リハビリではないと思われるかもしれません。

しかし、このように血圧の上がり具合を見て少しずつ身体を起こし、最終的にはベッドの上で座れるようにするというのも、リハビリの一つであり、回復過程においてとても重要なのです。

ぜひそのことをご理解いただけたらと思います。

 

急性期期間の家族でもできるリハビリ それは「マッサージ」

急性期に行われるリハビリは、患者さんの容態に合わせて少しずつ行います。

そのため、リハビリについて専門的な知識がないご家族ができるリハビリは、かなり限られてしまうのが現状です。

しかし、脳梗塞を発症し、急性期の期間であってもご家族ができるリハビリがあります。

それは、マッサージです。

麻痺やしびれを起こしている側の筋肉は、硬直してしまいやすいという特徴があります。

そこでご家族がゆっくりその部分をマッサージすることでも、患者さんにとっては気持ちよく、そして筋肉の疲れをほぐすというリハビリ効果を得ることもできます。

また、関節もマッサージによってほぐすことで、硬直を防ぎ、廃用性症候群を防ぐことにもつながります

本来ならば、こちらで詳しいマッサージ方法をご紹介できれば良いのですが、脳梗塞という病気は、患者さん一人ひとりによって症状が大きく異なります。

そのため、同じ脳梗塞の方向けのマッサージでも、良い効果を生み出すケースもあれば、一方で悪化してしまう可能性もあります。

そのため、患者さんを直接受け持っているリハビリの方へ、どの部分ならばマッサージしてもよいか、どのようなマッサージが良いかをぜひ聞いていただければと思います。

リハビリ担当者がわからない場合は、ぜひ病棟の看護師へ質問してください。

きっとすぐに対応してくれるはずです。

 

まとめ

患者さんやそのご家族が、早く症状を改善したいと思う気持ちは当然のことです。

そのため、急性期で行われるリハビリ内容について、疑問や不安を感じることもまた、当然のことだと思います。

近年は「チーム医療」といって、医師をはじめとして、看護師やリハビリ専門職などが一つのチームを作り、様々な視点から総合的に患者さんを支えています。

リハビリ内容についても、リハビリ専門職の間はもちろんのこと、医師や看護師など、患者さんに関わる様々な専門職がどんなリハビリを行っているのかの情報を共有しています。

一人のリハビリ専門職がすべてを判断し、リハビリを行っているということはまずありませんので、ぜひ毎日受けているリハビリを信じていただけたらと思います。

 

この記事を書いた人 山村 真子( 脳神経外科の看護師 )

看護短大を卒業後、大学病院・総合病院へ計10年間勤務。脳神経科には3年間勤務し、様々な脳梗塞患者さんの看護に従事してきた。脳神経科以外にも、循環器科や総合内科など、様々な診療科での経験を積み、今に至る。

現在はこれまでの看護師の経験を生かし、「根拠に基づいた確実な情報を、わかりやすくお伝えする」をモットーに、看護師ライターとして活動している。

 

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