ある朝、うちの父が毎日の日課で、いつもどおり仏壇と神棚にお供物をお供えしている時のことです。
父が「なにかおかしいなぁ」と異変を訴えました
母が尋ねると父は「神棚にお供えする塩を替えようと思って、塩の入った瓶を取ろうと思うんだけど、どうしてか瓶が取れないんだよ。手を伸ばして取ろうとしても距離感が掴めない」と言いました。
ハッとした母は危険を察知はしましたが、どうしていいのかわからず、すぐに同じ街に住む私の姉に電話をし、状況を伝えました。姉はこういうことにはとても敏感で行動が早く、母との電話を切った後すぐに、実家から一番近い脳神経外科のある大きな病院に電話をかけ、事情を説明しました。
タクシーに乗って病院へ
そして、本当に運が良く、電話を受け取った方が、すぐに専門医の方につないでくださいました。そこで担当医の方から「救急車よりも早いから、タクシーに乗って今すぐに病院に来てください」と言われ、すぐにタクシーを呼び15分程度で脳神経外科の救急入口に到着しました。その時の父は、右手を動かした時に距離感がつかめないということ以外は、一人で歩くことも話すこともできる状態だったので、自分で病院へ行く用意をし、母と二人でタクシーに乗って病院へ行きました。姉もすぐに自分の車で彼女の自宅から病院へ向かい、父と母と合流しました。
病院に着くとすぐ、電話でお話しした担当医の方に診察をしていただき、すぐに点滴治療が始まりました
先生からは「ちょっとした変化でも気に留めて、大事に至る前にすぐに来てくれて本当に良かった。これなら点滴治療を何日かすれば元どおりに元気になりますよ」とおっしゃっていただきました。
父は、入院手続きの書類にも自分で署名できるくらいだったので、先生は驚かれていました。
その後父は、数日間その病院に入院治療し、どこにも後遺症が残ることなく無事に退院することができました
退院後は念のために一定期間ごとに通院で診察をしていただいています。あれからかれこれ数年経ち、今でも通院をしてチェックはしていただいていますが、脳梗塞の疑いはなく、父は元気な後期高齢者です。
私たち家族がこの体験で学んだことは、脳梗塞はちょっとした体の変化、例えばうちの父のように、ものの距離感がつかめないだとか、歩いた際に自分ではまっすぐ歩いているつもりでもなぜかモノにぶつかってしまったり、よくつまずいてしまったりするなど、どんなに小さい異変でも気に留めて、ほっておかずに念のために病院へ行くことが大切だとわかりました。
どんな病気でもそうだと思いますが、大事に至らずに済ませるためにも、早期発見することが大切です。それから、私は実家から遠く離れた外国に住んでいるので、こんな時に何もできずにとてももどかしいのですが、実家のある街に住んでいる姉、彼女の行動力にはいつも本当に感謝してます。