人の体は60%水分でできているので、日頃の水分補給はとても大切なことです。水分が足りなくなって、脱水が起こると血液はドロドロの状態になり、脳梗塞が発症しやすくなります。
年を重ねれば重ねるほど、体の水分量が少なくなりがちなので、水分補給は大切です。1日の水分量の目安量や、飲むタイミングを把握して、脳梗塞の再発を防ぎましょう。
1日どのくらい水分が必要?
体内の水分は排出量と摂取量がほぼ一定になるようにバランスをとっています。
排出量としては、以下の4つが挙げられます。
尿 | 約1000ml |
便 | 約100ml |
不感蒸泄 | 体重1kg辺り15ml |
発汗量 | 気温、体質による |
不感蒸泄というのは、自分は気が付かなくても呼吸や皮膚からの蒸発によって失われる水分です。発汗量は季節や体質にもよりますが、気温が23℃の中で座っているだけでも、4時間で200ml程度の汗をかくとも言われており、夏場は3000mlもの汗をかくこともあります。
摂取量としては以下の3つが挙げられます。
食べ物に含まれる水分 | 約1000ml |
代謝水 | 体重1kg辺り 5ml |
飲み水 | 体重1kg辺り25~35ml(汗の量による) |
代謝水というのは、体の様々な代謝によって生まれる水分のことを指します。
例えば気温23度の中、デスクワークをしている体重60kgの方の場合
排出量
排出量=1000(尿量)+100(便)+900(不感蒸泄)+1200(汗)=3100ml
(汗は4時間で200ml:24時間で1200mlと計算)
摂取量
摂取量=1000(食事)+300(代謝水)+1800(飲水量)=3100ml
(飲水量は体重辺り30mlで計算)
となります。もっと汗をかくときは、体重1kg辺りの量を増やす必要があります。ご自分の体重や体質に当てはめて、計算してみてください。
飲む種類はなんでもいいの?
飲む種類としては、避けて頂きたい種類が2つあります。
1つ目は糖分が多い清涼飲料水です。
清涼飲料水には自分が感じている以上に糖分が含まれています。例えば、500mlのミルクティにはスティックシュガー13本分、コーラには19本分の糖分が含まれています。
これらを飲むと、血液の糖分濃度が上がってしまうので、水分補給には適していません。血糖値上がることは、血管を傷つけることに繋がり、脳梗塞の再発リスクを高めます。脳梗塞になってしまった方は、清涼飲料水は控えるようにしましょう。
2つ目はアルコールとカフェインを多く含むコーヒーです。
これらには利尿作用といって、尿が出やすくなる作用があります。水分補給をしていても、尿にばかり出ていってしまっては体内の水分量が減ってしまいます。特に寝る前に飲むことの多い、アルコールはその後水分摂取をしないと、夜中に脱水を起こす可能性は高くなります。これらは水分摂取には含めないでください。
コーヒーの他にも紅茶や緑茶などもカフェインを含みますが、それらはコーヒーの半分程度の量しか含まれていません。水分摂取はカフェインを含まない水・麦茶・ルイボスティを中心に緑茶、ほうじ茶、紅茶などで摂取するようにしましょう。
飲むタイミングはいつ?
近年はテレビでもこまめに飲むことが重要と、盛んに言われています。のどが渇いたという合図は、血管の水分量の減少を脳が感じて、水分摂取を促していることなのです。つまり、のどが渇いた時には既に脱水が始まっていることになります。
少なくても以下のタイミングでは水分摂取を心がけてください。
- 起床時
- 3回の食事
- 食事と食事の間に1回ずつ
- 入浴前
- 入浴後
- 就寝前
- 発汗時
1日10回程度は飲むタイミングがあります。先ほど計算した自分の必要量を10で割ると、1回辺りに飲むべき量が把握できると思います。
今まであまり飲む習慣がなかった人は、上記のタイミングで飲むことを意識することが難しいかもしれません。習慣化するまでは、水筒などを手の届く範囲におく、2時間おきにタイマーをセットすることもお勧めです。
夜はトイレが近くて困る
寝ている間にもコップ1杯程度の汗をかいていると言われています。そのため、就寝前に水分を摂らないと脱水になる可能性があります。脱水の状態は脳梗塞を引き起こす可能性が高くなるため、就寝前の水分摂取は非常に重要です。
ただし、高齢者の方では夜間頻尿になり、睡眠時間が十分に確保できない人もいます。睡眠時間が少なくなると、血圧が上がりやすくなることも考えられます。もし、夜に3回以上起床してしまう場合には、就寝前の水分はコップ半量程度するなど、調整しましょう。
まとめ
水分摂取は脳梗塞になってしまった方はもちろんですが、予防のためにも、大切なことです。水分補給をしても、体に吸収されるまでには15~20分程度かかります。飲む量、時間、質に注意して上手に適切な水分摂取を行っていきましょう。
ayu ( 管理栄養士 )
病院の食事を作る給食委託会社に就職後、 病院の入院患者様の栄養管理を経て、現在はクリニックにて、栄養指導を行っています。
現在は月に200人近くの方とお話ししており、その方の生活スタイルに合わせた話を行っており、患者さんの多くがリピートしてくださっています。
脳梗塞の発症や再発を防げるように、食生活についての情報提供を行っていきます。
趣味:旅行、食事、スポーツ